会社を退職後、ハローワークに離職票を提出して失業の手続きをすると、雇用保険の失業給付を受給することができますが、所定の給付日数を残して安定した職業に就職した場合、再就職手当の支給を受けることができます。
・・・と、冒頭から難しいことを書いて申し訳ありませんが、要するに「早期に就職が決まったらお祝い金的なものを受け取ることができますよー」って感じです。
今回はできるだけわかりやすく再就職手当について解説していきたいと思います。
・5年間、大手自動車会社の工場に勤務
・4年間、中小企業の町工場に勤務
・危険物取扱者・第2種電気工事士の資格取得(高校の時によくわからんまま取得した過去の栄光)
・SEにキャリアチェンジするも、わずか5ヶ月で退職
・現役ハロワ通い
再就職手当とは何か
再就職手当とは、失業してから早期に再就職が決定した場合に受け取れる「ハローワーク就職祝い金」のことです。
イントロで「所定の給付日数を残して安定した職業に就職した場合、再就職手当の支給を受けることができます。」と書きましたが、失業給付とごっちゃごちゃになってしまいがちです。
失業給付(失業手当)とは、会社都合や自己都合により退職した方々が生活を送れるように手当をいくらか受給しながら再就職を支援するための制度を言います。これは退職後に会社から送られてくる「離職票」が自宅に届き次第、速やかにハロワにて失業認定を受けるための手続きをします。
一方、再就職手当も再就職を後押しするための制度としては同じですが、手続きのタイミングや受給を受けるための条件が違いますので、混在しないようにしましょう。
受給までの流れ
再就職手当が受給されるまでの流れを順番に解説していきます。
1.採用証明書の事業所記入欄を就職先の会社に書いてもらう
2.「採用証明書」「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」をハローワークに提出する
3.再就職手当支給申請書を受け取り、就職先の会社に書いてもらう
4.雇用保険受給資格者証と再就職手当支給申請書をハローワークに提出する
ざっくりこんな感じです。なるべく噛み砕き散らかして一つずつ解説しますね。
1.採用証明書の事業所記入欄を就職先の会社に書いてもらう
再就職先が決まったら、そこの事業者に採用証明書の事業所記入欄に必要事項を書いてもらいます。
採用証明書は失業給付の手続きでもらう「受給資格者のしおり」に付属しているので、受給期間中にしおりは無くさないように保管しておきましょう。
また、本人記入欄もあるので(支給番号、名前、生年月日、住所、電話番号くらい)漏れなく記入しましょう。
2.「採用証明書」「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」をハローワークに提出する
見出しの通りですが、、、これらの書類を準備してハロワに提出しましょう。
提出する日は、再就職先での就業日前日です。
月曜日から出勤の場合は土日挟んで先週の金曜日に来所しないといけませんので土日祝を挟む場合は注意しましょう。
3.再就職手当支給申請書を受け取り、就職先の会社に書いてもらう
書類をハロワに提出して認定が下りた場合、ハロワから「再就職手当支給申請書」を受け取ることができます。
それを再就職先の事業所に書いてもらいましょう。
4.雇用保険受給資格者証と再就職手当支給申請書をハローワークに提出する
雇用保険受給資格者証と、事業所にて書いてもらった再就職手当支給申請書を準備してハロワに提出します。
提出の期限は、再就職日の翌日から1ヶ月以内なのでなるべく早く手続きは終わらせましょう。
とはいえ、ハロワは土日祝がおやすみなので再就職後は来所できないことも考えられます。
その場合、書類は郵送でもOKです。
受給できる金額
続いて気になる受給金額ですが、色々条件があって複雑なので代表的なパターンを抜粋します。
失業給付の日額と所定の給付日数がベースとなるので、自分が日額あたりいくらもらえるか、所定給付日数は何日かはしっかりと確認して覚えておきましょう。
再就職手当の額=基本手当日額×基本手当の支給残日数×0.6
計算式とか煩わしいことを書いてしまい申し訳ありませんが、数字を当てはめるとこんな感じです。
A氏の再就職手当=6,000×30×0.6=108,000円
(A氏の所定支給日数は90日)
しかし、支給残日数が多いと受給できる金額が増えます。(要するに早期就職ほど有利)
具体的には支給残日数が所定給付日数の3/2以上残して再就職すれば、計算式の0.6が0.7になります。
先程の例と同じ日額手当で計算するとこんな感じ。
A氏の再就職手当=6,000×60×0.7=252,000円
(A氏の所定支給日数は90日)
といった具合に、再就職までの時期が早いほどもらえる金額は多くなりますので、離職したら無理をしない程度に早期就職を目指しましょう!
というか、自分の意見を言わせてもらうと、
「収入の心配から間を空けず就職するよりも、まずは少し休んで落ち着いてから求人を探す」
この方法であれば焦って転職しなくてもいいので自分に合った良い求人を探すことができるはずです。
受給の条件
このように活用すればとても良い制度ですが、受給するためには条件があります。
- 前職の会社と密接な関係がある会社に就職しないこと
- 受給するための手続きを始めた後に内定をもらうこと
- 受給資格が決定してからの待機期間を過ぎた後(7日が経過)に仕事に就くこと
- 失業給付の待機期間が終了した後の1ヵ月間だけは、ハローワークの紹介によって職業に就くこと
(これは自己都合で退職した場合) - 雇用保険に入っていること
- 過去3年間、再就職手当を受給していないこと
- 再就職手当の支給決定の日までに会社を退職していないこと
これらの条件を全て満たしていないと再就職手当を受給できなくなりますので、受給する条件はチェックしておきましょう。
難しそうですが、失業給付の手続きをして待機期間を過ぎてからハロワで求人を探して早期に就職すればちゃんともらえる条件なので、過度に気にすることはないと思います。待機期間はゆっくり休めばいいので。。。
再就職手当の受給後にも給付がある場合も
早期に再就職することが出来て無事に再就職手当を受給した後でも、離職前の賃金よりも再就職先の賃金が低下してしまっている場合は、「就業促進定着手当」というものを受給することが出来ます。
なんのための手当なのかというと、「再就職したものの、前職よりも給料が下がってしまった・・・」という人のための救済措置です。転職後の給料が低くてモチベーションが上がらず、結局退職してしまったパターンは割とありがちですから、給料を理由にまた早期退職してしまう可能性をグッと抑えることが出来ます。
ということは「やりたい仕事があるけど、前職より給料が低いから諦める」といった、これまたありがちな転職者の悩みを解決してくれる制度というわけです。
給料の面で転職に踏み切れない方は、就業促進手当が国の制度としてあることを知っておくと選択肢が広がると思います。
まとめ
今回は、再就職手当の受給方法や金額、それから再就職をしたものの前職よりも給料が下がってしまった人が使える救済措置「就業促進定着手当」について解説しました。
離職後にハローワークで失業給付の手続きを進めると、再就職を後押しする制度が思ったより整っていることがわかると思います。
国の制度ということで少し堅苦しくて難しい記事になってしまいましたが、私が一番伝えたいことは、
人間関係、過度な労働、、、様々な理由で退職して辛い思いをしながら「早く就職先探さなきゃ・・・」と焦る必要はないことです。
この記事を読んでいただき、退職した方が絶望してしまうことを少しでも減らせることを願っています。
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